1. はじめに|バス業界が直面する「人手不足」の現実
バスやトラック、タクシーといった自動車運送業界では、運転手の人材不足が深刻な問題となっています。
特に地方では高齢化や若者の就職先としての敬遠などが影響し、既存の運転手が引退していく一方で、新たな担い手がなかなか確保できない状況が続いています。
北海道・札幌市に拠点を置く「じょうてつバス」も、例外ではありません。
10年前と比べて30~40名の運転手が減少し、平均年齢は54歳。定年や再雇用の期限が来れば、ますます人手が足りなくなるという切迫した現状です。
そんな中、今注目を集めているのが「外国人運転手」の採用という新たな試みです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a6664a3a4717919af62c108b101a72f71aaabba9?page=2
今回は、札幌市が主導し、ミャンマー人留学生2名を将来の運転手として採用・育成している事例をご紹介しながら、制度面・実務面でのポイントや、行政書士としてできる支援について詳しく解説していきます。
2. 注目の取り組み|札幌市とじょうてつバスの外国人採用プロジェクト
札幌市は2024年3月、じょうてつバスおよび北海道アルバイト情報社と連携し、ミャンマー人留学生アウンさんとフォンさんをバス運転手候補として採用。
彼らは来日後、まずは日本語の勉強を始め、並行してバス会社でのアルバイト業務(清掃・事務作業など)に従事しています。
札幌市は生活費の一部、学費の半額、そして免許取得費用を補助するなど、全面的にバックアップ。
これにより、外国人留学生にとっても経済的・制度的な負担が少なく、働きながら将来に向けたスキルを身につけることが可能となっています。
彼らは今年度中にミャンマーの免許から日本の普通免許へ切り替え、来年度には大型二種免許の取得を目指し、2027年春に運転手デビューの予定です。
3. 外国人バス運転手はなぜ注目されるのか?
外国人がバスを運転するというと、まだまだ珍しいと思われるかもしれませんが、実はその可能性は非常に大きいのです。
ミャンマー人のアウンさんとフォンさんは「運転が大好き」「人の役に立ちたい」という高いモチベーションを持ち、日本語学習にも真剣に取り組んでいます。
言語や文化の違いという課題はありますが、それらは育成支援によって十分に乗り越えられるものであり、「人材」ではなく「人財」としての価値を持ちうるのです。
企業にとっては、継続的な人材確保という意味でも、意欲的な外国人材の受け入れは大きなメリットがあります。
4. 「特定技能1号」とは?外国人雇用の新たな選択肢
この取り組みのベースとなっているのが「特定技能1号」という在留資格制度です。
2019年に新設されたこの制度は、深刻な人手不足が続く14の分野に限定して、外国人が一定の専門性・技能を持って就労することを可能にしたものです。
そして現在では、新たに「自動車運送業」等が制度の対象に追加されました。
これにより、外国人がバスやタクシーなどの運転業務に従事する道が開かれたのです。
特定技能1号では、在留期間は最長5年。試験による技能評価と、日本語能力試験(N4レベル以上)などの条件をクリアすれば、就労が認められます。
5. 制度を活用するメリットと、企業が受けるサポート
制度をうまく活用すれば、企業は以下のようなメリットを得ることができます。
- 人材確保:若く、働く意欲のある人材を確保できる
- 定着化:制度上、最長5年の在留が可能なため、長期的な戦力として育てられる
- 行政との連携:地方自治体や支援機関が育成や生活面で協力してくれるケースが多い
札幌市のように、補助金や生活支援が制度設計に組み込まれていれば、企業側の負担も抑えられ、受け入れのハードルが大きく下がります。
6. 行政書士として見る、外国人採用の実務と課題
とはいえ、実際に外国人を採用するとなると、制度理解と実務処理の両面で注意が必要です。
まず、在留資格の選定が重要です。
特定技能1号を利用する場合、対象分野であるか、技能試験の受験資格があるか、日本語能力が基準を満たしているかなど、複数の条件を満たす必要があります。
次に、契約書や雇用条件通知書は、母国語での翻訳が求められる場合もあります。
また、労働条件の説明や就業規則の整備も、受け入れ側企業にとっては新たな課題となります。
行政書士は、こうした実務のすべてに対して、企業と外国人双方に寄り添ったサポートが可能です。
7. 外国人を採用したい企業がまず準備すべきこと
外国人を初めて採用する場合、以下のような準備が必要です。
- 在留資格の確認:業種・職務内容と特定技能の一致をチェック
- 雇用契約書の整備:日本語+母国語での説明資料の準備
- 受入体制の見直し:社内に相談窓口を設け、日本語教育も検討
このような事前準備が、外国人材の早期戦力化と定着につながります。
8. 在留資格の申請・更新のポイントと注意点
特定技能は1年ごとの更新が原則です。
更新の際には、勤務先の安定性や職務内容、報酬額、日本での生活状況などが審査対象になります。
申請に必要な書類は細かく定められており、1枚の不足や記載ミスが申請却下につながることもあります。
行政書士は、これらの申請書類作成・チェック・提出のすべてを担う専門職。
更新まで見据えた計画的なサポートが可能です。
9. 成功の鍵は「育成計画」と「継続的支援」
外国人雇用を成功させるには、「育成計画」と「継続的支援」が不可欠です。
制度的に受け入れが可能であっても、言語や文化、生活習慣の違いから、最初の数ヶ月は企業と本人の間にギャップが生じがちです。
これを乗り越えるには、丁寧な育成方針と、日常的なコミュニケーションを支える体制が必要です。
当事務所では、外国人との契約や研修計画の立案だけでなく、必要に応じて通訳や支援機関との橋渡しも行えます。
10. まとめ|外国人雇用の未来と、行政書士ができること
札幌市のじょうてつバスのように、行政と連携しながら外国人材を「育てる」姿勢は、これからの日本の人材戦略において非常に重要です。
外国人雇用は単なる「労働力確保」ではなく、
企業の将来を支える「人材投資」であると考えるべきでしょう。
行政書士として、ニセコビザ申請サポートセンターは在留資格の取得支援だけでなく、
企業と外国人材の橋渡し役として、雇用の全プロセスに関与できます。
「制度が複雑でよくわからない」「初めての外国人雇用で不安」
そんな経営者・人事の皆さま、ぜひ一度、当事務所までご相談ください。
制度を活かすことで、貴社の未来を共に築くお手伝いをいたします。
