- ■はじめに:なぜ今「虚偽の認知届」が問題なのか?
2024年10月、茨城県警が摘発した「虚偽の認知届」による日本国籍の不正取得事件が、大きな注目を集めました。
日本に在留する外国人が「日本国籍」を得るために、偽装された手続きを行っていたという衝撃的な内容です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f65b0035381d6e95ed38c5bde7ee1670feb862da
本記事では、行政書士の立場から、事件の概要と在留資格・国籍取得に関わる制度の正しい理解、企業や本人が注意すべきポイントについて詳しく解説します。
- ■事件の概要:虚偽の認知による日本国籍取得の実態
摘発されたのは、ベトナム人女性とその周囲の人物たち。
彼女が交際していた同国籍の男性との間に生まれた子どもを、全く無関係の日本在住のベトナム人男性が「父親」として認知届を提出。
その結果、子どもは日本国籍を取得し、母親は「定住者」としての在留資格を申請する流れだったと報道されています。
このスキームの背後には「ブローカー」が存在し、金銭の授受があった可能性も示唆されています。
- ■日本の国籍取得制度と認知の関係
日本では、出生による国籍取得の他に、日本人の親による「認知」があれば、その子どもに日本国籍が認められる制度があります。
これ自体は国際結婚や未婚の親子関係の保護を目的としたもので、非常に重要な制度です。
しかし、この「認知」という仕組みが悪用され、まったく関係のない男性が「父親」として届け出を出すことで、不正に国籍が得られるケースが問題となっています。
- ■認知による日本国籍取得は合法?違法?
当然ながら、「真実に反する認知」は違法です。
刑法では「電磁的公正証書原本不実記録・供用罪」などが適用され、重い刑罰を受ける可能性があります。
また、虚偽によって得られた在留資格や国籍も、後に取り消される可能性があります。
- ■外国人に多い「定住者」資格とその背景
日本国籍を持つ子どもがいる外国人は、「定住者」としての在留資格を得ることが可能です。
この在留資格は比較的安定性が高く、就労も制限されません。
そのため「認知」→「子の日本国籍取得」→「母親が定住者に」という流れは、一部で悪用されている現実があります。
- ■不正取得が明るみに出たときの影響とリスク
不正が発覚すると、本人だけでなく関係者全員に大きな影響が及びます。
- 国籍の取消や在留資格の取り消し
- 強制退去処分
- 刑事罰
- 今後のビザ申請への影響
さらに、企業がこうした人物を採用していた場合、雇用管理体制の不備を問われるケースもあるため、無関心ではいられません。
- ■雇用する企業への影響:知らなかったでは済まされない
外国人雇用においては、採用時の在留資格の確認だけでなく、「取得の経緯」にも目を向ける必要があります。
仮に不正な手続きによる在留資格であっても、「企業が知らなかった」としても、社会的責任を問われる場合があります。
- コンプライアンス違反
- 業務停止や信用失墜
- 場合によっては刑事責任の可能性も
「採用前の確認」は、法務専門職である行政書士と連携しながら慎重に行うことが肝要です。
- ■行政書士としての視点:正しい支援のあり方
在日外国人の中には、制度への理解不足や不安から、悪質なブローカーに頼ってしまうケースが少なくありません。
しかし、不正に関わることで人生を大きく狂わせる結果にもなり得ます。
行政書士は、外国人本人・企業の双方に対して、法的に正しい手続きと選択肢を示す「橋渡し役」です。
一人で抱え込まず、必ず専門家に相談してください。
- ■外国人本人が気をつけるべきポイント
- 「知り合いがやっていたから大丈夫」と思わないこと
- ブローカーに頼らず、正規の申請手続きを行う
- 自分のケースに適した在留資格を、専門家と一緒に検討する
- ■まとめ:法令遵守と安心な在留のために
今回の事件は、日本の制度の隙間をついた非常に悪質なケースです。
しかし、すべての外国人が同様ではなく、正当な理由で在留資格を得ている方が大多数です。
だからこそ、一部の不正が社会全体に不信感を生まないよう、制度を正しく理解し、適切に活用する姿勢が求められます。
「この手続きって大丈夫?」と思ったら、一人で悩まず、まずはニセコビザ申請サポートセンターまでお気軽にご相談ください。