ニセコビザ申請サポートセンター代表、申請取次行政書士の明山崇です。北海道で唯一の、ビザ申請と観光業に特化した行政書士として、主に、ニセコ・小樽・札幌市内を中心に北海道で生活する、外国籍の方々の在留許可申請、いわゆる就労ビザや配偶者ビザ等の、新規取得や更新手続きのお手伝いをしています。

「特定技能」の在留資格を持つ外国人の方を雇う場合、雇用する企業が提供しなければならない支援が法令によって定められています。日本で現在29ある外国人の在留資格のうち、支援をしなければならないことが法令で定められているのは、「技能実習」と「特定技能」の2種類のみとなっています。他の就労系在留資格の外国人の方と比較して、年齢も若く、技能や日本語レベルが低い傾向があることから、弱い立場にならざるを得ない彼らを法的にも保護し、職業生活上、日常生活上、そして社会生活上も適切な環境を提供するために支援を行うことが、企業側には義務付けられています。このような配慮や支援を行うことで、日本社会全体の人手不足の問題を解消していこうというのが、特定技能外国人支援制度の趣旨となっているといえます。

今回は、「特定技能外国人支援に関する運用要領」に基づき、企業等が提供しなければならない支援に関して解説をしていきます。

だれが、支援を行わなければならないのか?

特定技能外国人に対する支援は、特定技能所属機関(以下企業)が自ら行っても構いませんし、登録支援機関と契約を行い、支援の全部、もしくは一部を委託することも可能です。企業が登録支援機関に支援を委託する場合には、事前に作成する支援計画書の中で、その業務範囲をあらかじめ定めておく必要があります。なお、企業から委託を受けた登録支援機関は、原則としてその支援業務を他社に再委託することはできないとされています。ただし、面談の際の通訳や、空港送迎の際の移動手段として、タクシーや鉄道を利用するといったことは問題ないとされています。

どのように、支援を行わなければならないのか?

特定技能外国人に対する支援は、「1号特定技能外国人支援計画」(以下、支援計画)を策定し、これに基づいて行うことが義務付けられています。この支援計画は、企業が作成をすることとなっています。支援に関しては、登録支援機関に委託をすることが出来ますが、すべての支援を委託する場合であったとしても、この支援計画は企業に作成が義務付けられており、計画の作成を登録支援機関に委託することはできません。

具体的な支援の内容は?

支援計画の内容として、以下の9項目を記載しなければならないとされています。それぞれの項目には、企業または登録支援機関が必ず行わなければならない「義務的支援」と、企業等の裁量による「任意的支援」の内容が例示されています。この支援の内容を例示すると、「1.事前ガイダンスの提供」、「2.出入国する際の送迎」、「3.適切な住居の確保に係る支援・生活に必要な契約に係る支援」、「4.生活オリエンテーションの実施」、「5.日本語学習機会の提供」、「6.相談または苦情への対応」、「7.日本人との交流促進に係る支援」、「8.外国人の責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合の転職支援」、「9.定期的な面談の実施、行政機関への通報」の9項目となります。

特定技能外国人への説明方法は?

支援計画は日本語だけでなく、特定技能外国人が十分に理解できる言語で作成すること。そしてその写しを交付して説明したうえで、十分に理解したことを確認する署名をしてもらうことが必要とされています。実務上は、日本に渡航する前の「事前ガイダンス」、そして、到着後の「生活オリエンテーション」の際に、特定技能外国人が十分に理解できる言語を使用して説明を行うこととなります。

支援にかかる費用はだれが負担をするのか?

前述の1~9の具体的支援項目のうち、「義務的支援」に定められているものに関しては、直接だけでなく、間接的にも特定技能外国人に費用を負担させてはならないことになっています。つまり、雇用する企業が支援に関する費用を負担することとなり、委託された登録支援機関が間接的に費用を徴収することはできません。これは、経費として必要となる、例えば、到着空港から勤務をする事業所までの交通費の実費や、定期面談の際の通訳者の費用に関しても特定技能外国人の負担とすることはできなく、企業、もしくは登録支援機関が支払いを行わなければならいものとなっています。

まとめ

特定技能外国人を雇用する企業等が行う支援の概要を解説してきました。具体的な支援に関しては9項目と多岐にわたるうえ、特定技能外国人を海外から呼び寄せる場合は、雇用契約締結後、ビザ申請前に行う「事前ガイダンス」から、入国後、勤務が始まってからの「日本語学習機会の提供」、「外国人の責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合の転職支援」まで、様々なケースで適切な支援を行うことが求められています。特定技能外国人制度が、日本社会の慢性的な人手不足を解消することを目的としていることから、国側も法令でその支援を定め、企業側も法令に基づいて作成した支援計画に沿った支援を適切に行うことが必要とされています。初めて外国人の方を雇用する企業が、自社ですべての支援を提供することは、かなり難しいと想定されます。そのような場合には、全ての支援を登録支援機関に委託することも可能ですので、特定技能外国人の雇用に関心のある企業は、人材派遣会社やビザや在留資格を扱う申請取次行政書士にご相談されることをお勧めします。

ニセコビザ申請サポートセンターは、言葉や文化、そして国境の壁を乗り越えて、日本社会の一員として働こうとしている、外国人の方々を全力で応援し、サポートします。この記事に関するご質問、お問い合わせや、特定技能外国人の方の受け入れに関しての条件面、手続き面に関するお問い合わせは、お電話か、ホームページの「無料相談フォーム」からお気軽にお問合せください。