2025年6月、札幌市においてベトナム国籍の男性がマイナンバーカード偽造の容疑で逮捕されるという事件が発生しました。発端は郵便局員による不審な申請内容の通報であり、容疑者の所持品からは複数枚の偽造カードが見つかっています。

一見して特殊なケースのように思えるかもしれませんが、これは決して対岸の火事ではありません。外国人を雇用する企業にとって、本人確認書類の信頼性は採用過程の根幹を支える重要な要素であり、特にマイナンバーカードや在留カードの真偽を見極める力が求められています。

私自身、行政書士として外国人雇用に関わるサポートを行う中で、「目視での確認に頼りすぎてしまい、偽造を見抜けなかった」というケースをいくつも見てきました。書類確認は単なる事務作業ではなく、企業の法的リスクや信用に直結する重要な業務です。

【企業が今、見直すべき対応策】

✅ 在留資格確認システムの活用:法務省が提供する在留カードの有効性確認システムを採用すべきです。番号入力だけで有効性を確認でき、偽造リスクを大幅に減らせます。

✅ 社内教育の強化:入管法、公文書偽造罪、在留資格の種別と特徴など、外国人雇用に関わる基礎知識を人事担当者に徹底させる必要があります。

✅ 外部専門家との連携:行政書士や社会保険労務士など、外国人雇用に精通した専門家と連携し、定期的な書類確認や社内監査体制を構築することが望まれます。

これからの時代、外国人採用はますます一般的なものになっていきます。その一方で、採用や在留管理に対する社会の目も厳しくなっています。企業の対応一つで、「信頼ある職場」として選ばれるか、「ずさんな管理体制」として批判を受けるかが分かれる時代です。

採用の現場では、「人手が足りないから誰でもいい」という発想ではなく、「信頼できる人材を、適切な手続きで迎える」という意識が不可欠です。制度や技術を味方にしながら、経営リスクの最小化を図ることが、これからの外国人雇用の基本姿勢といえるでしょう。

ご不安や具体的な課題をお持ちの企業様は、どうぞお気軽にご相談ください。現場の実務に即した、実践的なアドバイスをご提供いたします。