1. はじめに|外国人雇用の現場における「不法残留」というリスク
日本では少子高齢化を背景に、多くの企業が外国人材を採用しています。
その一方で、外国人の在留資格にまつわる問題も無視できません。
とくに「不法残留」は、企業にとって見過ごせないリスク。
知らず知らずのうちに在留資格を失った外国人を雇ってしまうと、企業自身が法律違反となる可能性があります。
今回は、出入国在留管理庁が公表した2025年6月時点の最新データをもとに、不法残留の現状と企業がとるべき対策を行政書士の視点から解説します。
https://news.yahoo.co.jp/articles/aa52acc678e42a7e4da8b67ceb241b50a25e8493
2. 最新データの概要|2025年6月時点での不法残留者数とその変動
出入国在留管理庁の資料によると、2025年6月末時点で国内の不法残留者数は 71,229人。
これは、半年前に比べ 3,634人(4.9%)減少しています。
一見すると前向きな数字に見えますが、長期的には依然として7万人前後で高止まりしている状態です。
とくに中小企業や人手不足に悩む業種では、「知らずに不法残留者を雇ってしまう」リスクが潜んでいます。
3. 国籍別ランキング|不法残留が多い国とその背景
不法残留者を国籍別に見ると、上位は以下の通りです。
| 順位 | 国籍 | 人数(前回比) |
|---|---|---|
| 1位 | ベトナム | 13,070人(-1,226) |
| 2位 | タイ | 10,924人(-413) |
| 3位 | 韓国 | 10,286人(-314) |
| 4位 | 中国 | 6,252人(-313) |
| 5位 | フィリピン | 4,575人(-109) |
特にベトナム人は技能実習や留学目的での来日が多く、途中で在留資格を失うケースが問題となっています。
4. 「短期滞在」名目の不法残留が最多|なぜ観光ビザが悪用されるのか
在留資格別では、「短期滞在」が約4万3千人と最多です。
これは、観光や親族訪問などの名目で来日し、そのまま在留期間を超えて滞在しているケースを指します。
「ビザなし渡航」が可能な国も多く、容易に入国できるため、悪用の温床となっています。
企業が採用面接の際に「短期滞在ビザのまま働こうとする人」を見極めることは非常に困難です。
5. 技能実習・特定活動・留学…在留資格別の傾向
不法残留者の在留資格を見ると、次のような傾向が見られます。
- 技能実習
- 特定活動
- 留学
- 日本人の配偶者等
特に技能実習や留学は「途中離脱」や「就労目的の逸脱」によって資格を失うことが多く、企業側の理解不足が問題を深刻化させている面もあります。
6. 歴史的推移|過去最多は約30万人だった不法残留の現状
不法残留者数は、1993年には約29万8千人と過去最多を記録しました。
その後、出入国管理の強化などにより、2014年には5万9千人まで減少。
しかし近年では再び7万人前後で横ばいとなっており、根本的な対策が必要とされています。
7. 外国人雇用企業が知っておくべき法的リスク
企業が不法残留者を雇用した場合、「不法就労助長罪」に問われ、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
「知らなかった」では済まされず、雇用時の確認義務が企業側にあるという認識を持つことが重要です。
8. 不法残留者を雇ってしまった場合の企業側の責任とは
仮に不法残留者を雇用していたことが発覚した場合、次のようなリスクが発生します。
- 刑事罰の対象になる
- 社会的信用の失墜
- 法人としての取引停止や助成金の停止
また、外国人労働者を多く抱える業種では、監督官庁からの監査も入りやすくなるため、再発防止策の構築が急務となります。
9. 行政書士ができるサポートと予防策
行政書士は、外国人雇用における 在留資格の適正確認 や ビザ申請の代理、コンプライアンス研修の実施 など、さまざまな支援が可能です。
とくに「在留カードの真贋チェック」「在留期限管理システムの導入」「就業規則の整備」などは、専門家の支援が有効です。
10. まとめ|コンプライアンス強化で信頼される企業へ
不法残留の問題は、企業にとって他人事ではありません。
適切な知識と対応策を持ち、外国人材と信頼関係を築くことが、結果的に企業の成長と安定につながります。
外国人雇用に少しでも不安がある場合は、ニセコビザ申請サポートセンターまで、お気軽にご相談下さい。