2025年6月11日、政府はバス・タクシー業界の深刻な人手不足を受けて、有識者会議を開催し、外国人ドライバーの受け入れに関する新たな制度案を提示しました。今回注目されたのは、「特定技能1号」での外国人受け入れにおける日本語要件の緩和です。
従来、運転業務に就く外国人が特定技能1号として就労するには、日本語能力試験(JLPT)でN3以上の取得が必須とされていました。N3は「ある程度の日常会話が可能」なレベルであり、顧客との応対や緊急時の対応を考慮すると妥当な水準と考えられてきました。
しかし、2025年4月時点での試験結果によると、バス・タクシー業種でN3合格者はなんとゼロという結果に。人材確保がままならない現状を受け、政府は要件の緩和を検討するに至りました。
【検討されている主な緩和案】
- 日本語能力の要件をN4(簡単な日本語が理解できるレベル)に引き下げ
- 日本語サポーターの同乗支援を前提とした段階的な運用
- 業務開始後も継続的にN3取得を目指す育成体制の構築
この見直しにより、これまで「N3がネックで就労を諦めていた」外国人求職者にとっては、まさに新たな門戸が開かれることになります。また、ドライバー不足に悩む交通事業者にとっても、即戦力人材の確保に向けた現実的な選択肢となり得ます。
一方で、公共交通におけるドライバーという職種は、単なる運転技術だけでなく、乗客との接遇、安全確認、緊急時の判断といった高度な対応力が求められます。したがって、語学力の緩和だけでなく、業務上のサポート体制や教育システムの整備が不可欠です。
行政書士として、私は外国人雇用に関する在留資格の取得支援や、制度設計に関する企業向けアドバイスを行っておりますが、今後は「受け入れ後の育成体制」も企業にとっての重要な責務となるでしょう。
たとえば、企業が取り組むべき対応には次のようなものがあります:
✅ 日本語サポーターの配置や教育プログラムの導入
✅ 実務研修と日本語指導を並行させる育成スキームの設計
✅ 顧客対応マニュアルの多言語化と緊急時対応訓練の実施
✅ 在留資格更新時のサポートや生活支援体制の整備
現在、「外国人を雇用したいが制度が分からない」「N3要件が高すぎて採用を諦めていた」といったご相談を多く頂いております。制度が変わる今こそ、正しい情報を得て、前向きな対応を検討する絶好のタイミングです。
外国人雇用に関するお悩みや疑問、不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。行政書士として、ご状況に合わせた最適なサポートをご提案いたします。