「15〜20年後、日本の人口の10人に1人が外国人になる」——この言葉を聞いて、皆さんはどう感じるでしょうか?
これは、藤田文武衆議院議員(日本維新の会前幹事長)が最新のインタビューで示した警鐘です。国立社会保障・人口問題研究所の試算によれば、2040年代後半には在日外国人の割合が10%を超える可能性があるといいます。
現在は約3%。一見少ないようですが、実際には急激なスピードで増加しており、現場では既にさまざまな課題が生まれ始めています。
私は行政書士として、外国人の在留手続きや企業での就労管理のサポートを行ってきました。今回は、この問題を「現場から見たリアル」として、また「制度設計のあるべき姿」として、私なりの考えをお伝えしたいと思います。
■「制度」と「現実」のギャップ
外国人を受け入れる制度には、「在留資格」や「技能実習制度」「特定技能制度」など複数の枠組みがあります。しかし、現場の企業や自治体が感じているのは、「制度が分かりづらい」「手続きが煩雑」「支援体制が整っていない」といった現実とのギャップです。
ある中小製造業の経営者はこう語ります。
「人手不足で外国人に頼らざるを得ないが、手続きや就労管理が複雑で、何が正しいのか分からない。」
また、ある自治体職員は、
「市民窓口で初めて外国人の住民票の問題が出てきて、右往左往してしまった」と話します。
つまり、制度上の整備が追いついておらず、現場が自己流で対応せざるを得ない状況にあります。これは外国人本人にとっても、企業にとっても、行政にとってもストレスとなり、ひいては共生の妨げになります。
■「共生」は、自然体で行うもの
一方で、明るい兆しもあります。
大阪府大東市にある企業では、従業員の約20%が外国人技能実習生。経営者は「彼らも家族。病気になれば助け、地元のお祭りにも一緒に参加する」と語ります。
このように、外国人労働者を「コスト」や「労働力」ではなく、「同じ地域の仲間」として迎え入れる企業も確実に増えています。制度だけではなく、人のつながりで共生が成り立っているのです。
私はこの事例を視察し、大きな感動を覚えました。行政書士として制度を扱う立場であると同時に、人間として「一緒に働き、一緒に暮らす」ことの価値を改めて実感しました。
■「総量マネジメント」が必要な理由
藤田議員が強調する「外国人受け入れの総量マネジメント」という考え方。
これは、「増えすぎたから出て行ってくれ」と言えない以上、あらかじめ適正な受け入れの上限や基準を設けるべきだという提言です。確かにヨーロッパでは、外国人比率が急増したことで治安や財政、政治的対立が激化した例があります。
私もこの点には賛成です。制度はあくまで社会とのバランスの中で設計されるべきものであり、数だけを追い求めると、後で大きなしわ寄せが来ます。
ただし、マネジメントとは「制限」ではなく「調整」です。
受け入れのスピード、地域ごとの特性、就労分野のニーズを把握しながら、どこにどれだけ、どのような形で受け入れるかを考える——それが本来のマネジメントだと思います。
■行政書士として、企業と外国人の架け橋に
外国人を雇用する企業は、労務管理や在留資格の対応に頭を悩ませている方が多いです。
「今いる技能実習生を特定技能に切り替えたいが、流れがよく分からない」
「就労ビザの更新手続きに何が必要か」
「採用予定の外国人が在留資格に該当するか不安」
これらはすべて、私たち行政書士が日々対応している相談です。
企業にとっては人材確保が第一でも、手続きを間違えばビザが下りず、雇用できなくなるリスクがあります。だからこそ、正しい制度理解と、専門家のサポートが重要になります。
私は、単なる「手続き代行者」ではなく、外国人本人・企業・行政の三者をつなぐ“通訳者”のような存在でありたいと考えています。
■まとめ:共に生きる社会へ、今が分岐点
外国人が10人に1人となる時代が、すぐそこまで来ています。
これは脅威ではありません。むしろ、制度を整え、地域で受け入れ、共に歩む準備ができていれば、大きな力となるはずです。
企業の皆さん、今こそ制度を見直し、自社に合った外国人雇用のあり方を考える時期です。そして私たち行政書士は、そのパートナーとして伴走する準備ができています。
「制度」と「現場」をつなぐ存在として、ぜひお役に立たせてください。