先日、北海道・倶知安町で外国人名義の建築主による無許可の森林伐採および開発工事が発覚し、地元自治体と住民の間で大きな問題となりました。開発地は、日本百名山のひとつである羊蹄山のふもとという景勝地であり、環境保全や防災上の懸念が高まっています。

本件では、森林法に基づき1ヘクタール以上の土地を開発する場合に必要な許可が得られていない状態で、すでに伐採や整地が進み、建築工事が着工されていました。これを受けて、北海道は建築主に対して開発行為の停止を勧告し、建築確認申請の再提出を求める異例の対応をとっています。

さらに現場の作業員や請負建設会社でさえ「誰が伐採したのか把握していない」と答えており、実務の混乱と法的手続の不備が明らかとなっています。周辺住民からも「土砂災害が心配」「環境破壊が進むのでは」といった不安の声が寄せられ、事態は深刻です。

このようなトラブルの背景には、日本の法制度の複雑さと、外国人にとっての言語・文化的な壁があります。不動産の購入や開発、建築を行う際には、森林法や建築基準法、都市計画法、土地利用制限など、複数の法令にまたがる許認可が必要です。加えて、行政手続は基本的に日本語で行われるため、外国人にとっては大きなハードルとなります。

「知らなかった」「不動産会社や建設会社に任せた」という言い分は、法的には免責になりません。これは外国人個人の責任にとどまらず、その外国人と関わる不動産業者、建設業者、さらにはその人材を雇用する企業にまで影響を及ぼすリスクをはらんでいます。

たとえば、外国人社員が日本で住宅を購入しようとした際に、不動産登記、用途地域、開発許可などの制度を誤認して契約した結果、裁判沙汰や行政指導に発展する可能性もあるのです。企業のイメージダウンや事業活動の停滞にもつながりかねません。

だからこそ重要なのは、「最初に専門家に相談する」ことです。行政書士は、外国人の在留資格や会社設立、ビザ取得支援にとどまらず、不動産取引や開発許可、各種行政手続に関するアドバイス・書類作成も行っています。

私自身、これまで多数の外国人の方々を支援してきた中で、「もっと早くご相談いただければ防げたトラブル」に数多く直面してきました。日本の法制度は緻密であり、その分、初動での対応が肝要です。

外国人の方が安心して日本で暮らし、働き、投資活動を行うためには、制度の理解と適切な準備が不可欠です。そして、それを支援する企業の皆さまにとっても、社員の生活基盤を守るためには正確な情報と適切な対策が求められます。

不安がある方、具体的な計画をお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。行政書士として、皆さまの安心・安全な日本での活動を全力でサポートいたします。