1. はじめに:宮城県で発生した不法就労あっせん事件とは

2025年8月、宮城県栗原市の中古車会社に就労資格のない外国人を紹介し、違法に雇用させたとして、インドネシア国籍の女性が逮捕されました。

報道によると、紹介された外国人2名はいずれも不法残留の状態であり、紹介した女性と企業の役員(パキスタン国籍)は不法就労助長の疑いで逮捕・起訴されています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8312fa2231bff35f57095e6bf03912b219f5505e

この事件は、「知らずに雇った」では済まされない時代であることを、改めて私たちに突きつけています。


2. 不法就労とは?法律上の定義と企業の責任

不法就労とは、在留資格のない外国人や、資格に定められた範囲外で働く外国人が就労することを指します。

また、不法就労助長罪とは、企業がそのような外国人を雇用した場合に適用される法律違反です。

企業が「知らなかった」「紹介されたから」では免責されず、罰金刑・懲役刑の対象となります。これは法人であっても例外ではなく、代表者・人事担当者が責任を問われるケースもあります。


3. よくある誤解:「在留カードを見れば大丈夫」ではない理由

在留カードの表面を確認して「就労可」と書かれていれば問題ない、と思っていませんか?

実はこれは誤解です。

✔ 要チェック項目:

  • 在留資格の種類(技術・人文知識・国際業務、特定技能など)
  • 就労制限の有無(資格外活動許可など)
  • 在留期間の有効期限

これらの要素が一致して初めて、合法的に雇用できる状態であると判断されます。


4. ブローカー的な仲介者によるリスクの高まり

最近では、在日外国人同士のネットワーク内で「仕事を紹介する人=ブローカー」が増加しています。

彼らは雇用先企業に対し「この人、働けますよ」と紹介してきますが、在留資格を確認していない場合も多く、トラブルの温床となっています。

今回の事件のように、仲介者が不法就労を促進し、企業も巻き込まれるという事態は、実際に起きています。


5. 企業がとるべき3つの基本対策

外国人を安心・合法的に雇用するために、企業が行うべき基本的な対策は以下の通りです。

1. 在留カードの真贋確認+就労資格チェック

ICチップの確認や、入管庁の「在留カード等番号失効情報照会」も活用。

2. 就労可能な範囲の確認

在留資格ごとに就労できる職種・業務内容が異なるため、職種との適合性を専門家に相談。

3. 雇用契約書に明記+コピー保存

雇用にあたっては在留資格に沿った契約内容を明記し、本人確認書類もセットで保管。


6. 外国人雇用にまつわる企業リスクとは

もし違反が発覚した場合、企業には次のようなリスクがあります:

  • 最大3年以下の懲役または300万円以下の罰金(不法就労助長罪)
  • 企業の社会的信用の低下
  • 官公庁との取引停止や許認可の取消
  • 内部通報や報道によるイメージダウン

特に中小企業の場合、ひとたび問題が起きるとダメージは深刻です。


7. 行政書士として伝えたいこと

私は行政書士として、在留資格の確認や入管手続きのサポートを数多く行ってきました。

「今働ける人がほしい」という気持ちは痛いほどわかります。
ですが、正しいステップを踏まなければ、リスクは避けられません。

特に外国人雇用に不慣れな企業ほど、初期の段階で専門家に相談することが重要です。


8. 実務でのチェックリスト(無料DL可)

今後、企業が持つべき意識とは?

外国人材の雇用は「人手不足を補うための手段」ではなく、「戦力として共に働く仲間」としてのスタートです。

そのためにも、ルールを守る姿勢が企業文化として問われる時代になっています。

法令順守は、「やらなければいけないこと」ではなく「やっておくべき備え」です。


9. まとめ:不安なら、まずは相談を

外国人雇用は、正しい知識と体制があれば、企業にとって大きな強みになります。

「制度が複雑でわからない」
「過去に雇用した経験がない」
「間違っていないか不安」

そんな方は、まず一度専門家に相談してください。

ニセコビザ申請サポートセンターは、入管業務を通じて、外国人雇用を安心・合法的に進めるお手伝いができます。