1. はじめに:経営・管理ビザ更新ルールが変わります
2025年10月16日(令和7年)より、外国人が日本で企業経営を行うために必要な「経営・管理」ビザの許可基準が大幅に見直されます。
この改正により、現在すでに在留している外国人経営者、または外国人を雇用している企業にとって、更新申請の準備や対応がこれまで以上に重要になります。
本記事では、行政書士の立場から、制度改正のポイントと更新申請時の注意点についてわかりやすく解説します。
2. 改正施行日と猶予期間について
改正省令は2025年10月16日に施行されますが、すでに「経営・管理」ビザで在留している方については、2028年10月15日までの更新について、経過措置が設けられています。
つまり、3年間の猶予期間の中で、改正後の基準に完全に適合していなくても、経営状況などを総合的に考慮して判断される可能性があります。
ただし、施行から3年経過後の更新では、新基準に適合する必要がありますので、早めに準備を進めておくべきです。
3. 新しい基準で求められる5つの主な条件
今回の改正で、経営・管理ビザの取得・更新には以下のような条件が明確化されました。
(1)常勤職員の雇用
申請者が経営する事業で1人以上の常勤職員(※特定の在留資格を持つ者のみ)を雇用する必要があります。
(2)資本金等の要件
法人の場合は3000万円以上の資本金等が求められます。個人事業主の場合でも、同等の規模の投資実績が必要です。
(3)日本語能力
申請者または常勤職員のいずれかがB2相当以上の日本語能力(JLPT N2など)を有している必要があります。
(4)経歴・経験
経営に関する3年以上の実務経験または、修士・博士レベルの学位を持っている必要があります。
(5)事業計画の実現性と専門家の確認
提出する事業計画が具体的かつ合理的であることを、中小企業診断士・税理士・公認会計士などの専門家によって確認されなければなりません。
4. 専門家による事業計画の評価とは
更新申請の審査においては、事業計画の妥当性を第三者(税理士や公認会計士、中小企業診断士などの有資格者)である専門家が確認する必要があります。
これは、「書類の整備」だけでなく、実際に計画が実現可能かどうかの評価が求められるということです。
行政書士として、単に形式的な要件を満たすのではなく、現実的な事業計画を組み立てるサポートが重要になると考えています。
5. 「高度専門職1号ハ」への影響も要注意
「経営・管理」の活動を前提とする在留資格である「高度専門職1号ハ」も、今回の改正の影響を受けます。
この資格でも同様に、「経営・管理」の許可基準を満たす必要があるため、別枠の優遇措置があるわけではありません。
6. 雇用主・人事担当者が確認すべきポイント
外国人経営者の企業や人事担当者の方も、以下の点を確認しておく必要があります。
- 社員・従業員の日本語能力や経歴
- 社内の公租公課(税・保険)の納付状況
- 事業所が規模に見合ったものであるか
- 常勤職員の定義に適合する人材を雇用しているか
企業としても、外国人経営者の在留が不許可となれば、取引や雇用計画に支障が出る可能性があります。
7. 更新時の書類・審査内容も厳格化へ
更新申請の際には、以下のような書類が求められます。
- 登記事項証明書
- 事業活動に関する資料
- 納税証明書(法人税、消費税、住民税等)
- 労働・社会保険の適用状況に関する資料
また、正当な理由なく長期出国していた場合などは、在留実績が問われるため注意が必要です。
8. 永住・資格変更への影響
改正後の基準に適合していない場合は、以下のような申請が認められない可能性があります。
- 「経営・管理」からの永住許可申請
- 「高度専門職1号ハ」から「高度専門職2号」への変更申請
つまり、今回の改正は一時的な更新にとどまらず、長期的な在留計画にも大きな影響を与えることになります。
9. よくある質問と対応策
Q. 雇用が必要な常勤職員はどんな人?
A. 日本人、特別永住者、または「永住者」「定住者」などの在留資格を持つ外国人に限られます。
Q. 資本金3000万円に満たない場合は?
A. 施行日から3年以内の申請であれば、見込みや経営状況を踏まえて判断される可能性があります。
Q. 日本語能力の証明方法は?
A. JLPT N2合格証明書や、大学卒業証明書などが利用可能です。
10. まとめ:早めの準備がトラブルを防ぐ鍵
今回の法改正は、単なる手続き変更ではなく、「経営者としての実態・能力」を問う内容です。
更新申請時に慌てることがないよう、今のうちから準備を始めることが極めて重要です。
ニセコビザ申請サポートセンターは、外国人経営者やその雇用主の方に向けた、個別の相談や申請支援も行っています。
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「自分は基準を満たしているのか不安…」という方は、ぜひ早めにご相談ください。