■ はじめに

2026年7月24日、政府は外国人政策に関する関係閣僚会議を開催し、外国人の受け入れ人数に数値目標を設けることを検討すると発表しました。この政策転換は、在日外国人やその家族、そして外国人を雇用する企業にとって、今後の生活や事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。

本記事では、ビザ申請や在留資格の専門家の視点から、今回の政府発表の内容、背景、そして今後の見通しについて詳しく解説します。


■ 政府発表の概要 – 何が決まったのか?

2026年7月24日に開催された外国人政策に関する関係閣僚会議において、議長を務める官房長官は、有識者会議で議論を進め、将来推計を行いつつ、2026年度中(2027年3月まで)に基本方針をまとめるよう指示を出しました。

この有識者会議は同日付で正式に設置され、外国人政策を担当する経済安全保障担当大臣の下で検討が進められます。

数値目標とは何か?

「数値目標」とは、外国人の受け入れ人数に明確な上限や目標値を設定することを指します。現在も「特定技能」や来年4月に開始予定の「育成就労」といった在留資格では、業種ごとに受け入れ上限が定められています。

しかし、「技術・人文知識・国際業務」や「留学」などの在留資格には上限が設定されていません。今回の検討では、これらの在留資格にも数値目標を導入するかどうかが焦点となります。

連立政権合意書との関係

この政策転換の背景には、自民党と日本維新の会の連立政権合意書があります。合意書では、「外国人の受け入れに関する数値目標や基本方針を明記した人口戦略」を2026年度中に策定することが明記されていました。

日本維新の会は6月、人口に占める外国人比率の上限目標を入れた基本方針の策定を求め、担当大臣に提言を提出しています。


■ 在留外国人の現状 – 数字から見る実態

急増する在留外国人数

在留外国人数は年々増加しており、2025年末時点で412万人に達しました。これは2021年末の約1.5倍という急増ぶりです。

この背景には、日本国内の深刻な人手不足があります。特に製造業、建設業、介護業、外食業などでは、外国人労働者なしには事業の継続が困難な状況が広がっています。

在留資格別の状況

現在、外国人が日本に滞在するための在留資格は複数あり、それぞれ目的や条件が異なります。

  • 特定技能: 特定の産業分野で人手不足を補うための在留資格。業種ごとに上限が設定されている。
  • 育成就労: 2027年4月から開始予定の新しい在留資格。従来の「技能実習」に代わるもので、より就労を重視した制度。
  • 技術・人文知識・国際業務: いわゆる「就労ビザ」の一つ。IT技術者、通訳、貿易業務などに従事する外国人が該当。現在、受け入れ上限は設定されていない。
  • 留学: 大学や専門学校などで学ぶための在留資格。卒業後、就労ビザへの切り替えを希望する留学生も多い。

■ 現場で何が起きているのか – 外食業界の事例

上限到達による新規受け入れ停止

今年2026年4月、外食業界では「特定技能1号」の外国人労働者が上限の5万人を超える見込みとなり、新規の受け入れが原則停止となりました。

この措置により、多くの飲食店が深刻な人手不足に直面しています。特に地方都市では、外国人スタッフなしには営業を維持できない店舗も少なくありません。

経済界からの反発

日本商工会議所は2026年5月、「上限引き上げが必要だ」とする提言をまとめました。現場の実態を踏まえ、柔軟な受け入れ体制の構築を求める声が高まっています。

一方で、政府は日本人の雇用に悪影響を及ぼさないよう、慎重な姿勢を崩していません。この両者のバランスをどう取るかが、今後の政策のカギとなります。


■ 企業が直面する課題とリスク

採用計画への影響

外国人の受け入れに数値目標が導入されれば、企業の採用計画に大きな影響が出る可能性があります。特に、現在上限のない「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格に制限が加われば、IT企業や商社、製造業など幅広い業種が影響を受けます。

在留資格更新の不確実性

すでに日本で働いている外国人社員についても、在留資格の更新がスムーズに進むかどうか不透明感が増します。特に、数値目標が厳格に運用された場合、更新が認められないケースも出てくる可能性があります。

コンプライアンスリスクの増大

法改正や政策変更に対応できず、知らず知らずのうちに法令違反状態に陥る企業も出てくるかもしれません。外国人雇用に関する法令は複雑であり、専門知識がないまま対応すると、罰則や事業停止のリスクもあります。


■ 在日外国人とその家族への影響

生活基盤の不安定化

すでに日本で生活基盤を築いている外国人にとって、受け入れ制限の強化は大きな不安材料です。在留資格の更新が認められなければ、帰国を余儀なくされる可能性もあります。

家族の呼び寄せへの影響

配偶者や子どもを日本に呼び寄せる「家族滞在」の在留資格についても、数値目標の影響を受ける可能性があります。家族と一緒に暮らすという当たり前の権利が制限されるかもしれません。

キャリア形成の不透明感

留学生や若い外国人労働者にとって、長期的なキャリア形成が難しくなる可能性があります。将来の見通しが立ちにくくなることで、優秀な人材が日本を避ける傾向も懸念されます。


■ 専門家の視点 – 今後の見通しと対策

政策の方向性

自民党は2026年6月にまとめた外国人政策の提言で、新たな上限の設定には直接触れていません。このことから、基本方針がどこまで踏み込んだ内容になるかは不透明です。

ただし、日本維新の会が強く数値目標の導入を求めていることから、何らかの形で目標設定が行われる可能性は高いと考えられます。

地方と都市部の温度差

地方では深刻な人手不足が続いており、外国人労働者の受け入れ拡大を望む声が強い一方、都市部では外国人人口の増加に対する懸念の声も聞かれます。

この地域間の温度差をどう調整するかも、今後の政策課題となるでしょう。

企業と個人が今すべきこと

企業の場合

  1. 情報収集の徹底: 2027年3月の基本方針決定まで、最新情報を常にチェックする。
  2. 在留資格の見直し: 現在雇用している外国人社員の在留資格と更新時期を再確認する。
  3. 専門家との連携: 行政書士や弁護士など、専門家のサポートを受ける体制を整える。
  4. シナリオプランニング: 数値目標が導入された場合の対応策を事前に検討しておく。

個人(在日外国人)の場合

  1. 在留期限の確認: 在留カードの有効期限を確認し、更新手続きは余裕を持って行う。
  2. 書類の整備: 在留資格に関する書類(雇用契約書、給与明細、納税証明書など)を整理しておく。
  3. 早めの相談: 不安があれば、専門家に早めに相談する。
  4. 最新情報の入手: 入管庁や自治体の公式情報を定期的にチェックする。

■ 今後のスケジュール

  • 2026年7月24日: 有識者会議設置、検討開始
  • 2026年度内(2027年3月まで): 基本方針の策定・公表
  • 2027年4月: 新在留資格「育成就労」の開始
  • 2027年以降: 基本方針に基づく具体的な施策の実施

■ まとめ

今回の政府発表は、日本の外国人政策における大きな転換点となる可能性があります。在日外国人やその家族、そして外国人を雇用する企業にとって、今後の動向を注視し、適切な準備を進めることが重要です。

政策の詳細はこれから固まっていきますが、変化の波に備えるためには、正確な情報と専門的なサポートが欠かせません。

ビザ申請や在留資格に関するご相談がございましたら、どうぞお気軽にお声がけください。皆様の安心と成功をサポートいたします。

参照元記事: https://news.yahoo.co.jp/articles/3fd24acbcc9855f54675cf5d439a718741f2d00f