2026年6月22日、全国知事会が多文化共生に関するプロジェクトチーム(PT)の会合をオンラインで開催し、新たな提言案をまとめました。この提言は、日本社会が直面する「多文化共生」という大きな課題に対して、国が責任を持って取り組むよう強く求める内容となっています。
在留外国人数が昨年末時点で過去最高を記録した今、在日外国人の方々とそのご家族、そして外国人を雇用する企業の経営者や人事担当者にとって、この動きは決して他人事ではありません。
本記事では、全国知事会の提言内容を詳しく解説し、これが在留資格やビザ申請にどのような影響を与えるのか、そして今後どのような対応が求められるのかを、行政書士の視点から分かりやすくお伝えします。
1. 全国知事会の提言案とは?
全国知事会のプロジェクトチームは、昨年7月にも同様の提言を出していましたが、「基本法の制定は進んでおらず、言い続けることが必要」と判断し、今回改めて提言案をまとめました。
提言の主な内容
① 国が責任を持って取り組むことを明記
多文化共生社会の実現は、もはや地方自治体だけの課題ではなく、国レベルで取り組むべき重要政策であるという認識が示されています。
② 関連予算の確保と永続的な財政措置
一時的な補助金ではなく、継続的に予算を確保し、長期的な視点で多文化共生を支える体制を求めています。
③ 多文化共生を実現する基本法の制定
現行の制度では対応しきれない課題が増えている中、法的根拠となる基本法の制定が急務とされています。
④ 育成就労制度における配慮
2027年度から始まる「育成就労制度」について、人材が大都市圏に過度に集中しないよう配慮すること、また対象外の分野でも受け入れを検討することが求められています。
2. なぜ今、多文化共生が重要なのか?
日本の在留外国人数は年々増加しており、昨年末時点で過去最高を記録しました。この背景には、少子高齢化による労働力不足、グローバル化の進展、そして日本企業の海外展開などがあります。
在留外国人の増加がもたらす影響
- 労働市場の変化: 製造業、建設業、介護業界などで外国人材が不可欠な存在に
- 地域社会の多様化: 学校、病院、行政窓口などで多言語対応が求められる場面が増加
- 法制度の対応遅れ: 現行制度では対応しきれない新たな課題が次々と発生
こうした状況下で、地方自治体が独自に対応を続けてきましたが、限界が見えてきたのが現状です。だからこそ、全国知事会は「国が責任を持って取り組む」ことを強く求めているのです。
3. 2027年スタート「育成就労制度」とは?
技能実習制度に代わる新たな枠組みとして、2027年度から「育成就労制度」がスタートします。この制度は、外国人材が日本で長く働き続けられる仕組みを目指しており、企業と外国人労働者の双方にとって大きな変化をもたらします。
育成就労制度の特徴
① 長期就労を前提とした制度設計
技能実習制度が「技術移転」を目的としていたのに対し、育成就労制度は「人材育成と就労の継続」を重視しています。
② 転職の柔軟化
一定の条件下で、同一業種内での転職が認められる方向で検討されています。
③ 家族帯同の可能性
長期就労が可能になることで、将来的には家族帯同も視野に入れた制度設計が期待されています。
企業が注意すべきポイント
- 地域バランスへの配慮: 大都市圏への集中を避けるため、地方での雇用が推奨される可能性
- 対象分野の拡大: 現在対象外の業種でも、今後受け入れが認められる可能性
- 受け入れ体制の整備: 単なる労働力としてではなく、育成とキャリア形成を支援する体制が求められる
4. 企業の人事担当者・経営者が知っておくべきこと
外国人材を雇用する企業にとって、ビザ申請や在留資格の管理は避けて通れない重要業務です。しかし、多くの企業が以下のような課題を抱えています。
よくある課題
- 制度の複雑さ: 在留資格の種類が多く、どれが適切か判断しづらい
- 申請書類の準備: 必要書類が多岐にわたり、準備に時間がかかる
- 更新・変更手続きの管理: 期限管理や変更事由の把握が煩雑
- 法改正への対応: 頻繁に変わる制度に追いつけない
専門家に相談するメリット
行政書士などの専門家に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
✅ 正確な書類作成: 不備による再申請のリスクを回避
✅ 時間の節約: 煩雑な手続きを代行し、本業に集中できる
✅ 最新情報の提供: 法改正や運用変更に迅速に対応
✅ トラブル予防: 事前に問題点を把握し、適切な対応が可能
特に育成就労制度のような新しい枠組みがスタートする際には、早めに専門家と相談し、準備を進めることが重要です。
5. 在日外国人とそのご家族が知っておくべきこと
日本で暮らす外国人の方々にとって、在留資格は生活の基盤そのものです。適切な在留資格を持ち、必要なタイミングで更新や変更を行うことが、安心して日本で生活するための第一歩です。
在留資格に関する主な手続き
① 在留期間更新許可申請
在留期間が満了する前に、更新手続きを行う必要があります。期限を過ぎると、不法滞在となってしまうため注意が必要です。
② 在留資格変更許可申請
転職や結婚など、生活状況が変わった場合には、在留資格の変更が必要になることがあります。
③ 家族滞在・配偶者ビザ
日本で働く外国人の方が家族を呼び寄せる場合、適切な在留資格を取得する必要があります。
④ 永住許可申請
一定の要件を満たせば、永住権を取得することも可能です。永住権があれば、在留期間の制限がなくなり、より安定した生活が送れます。
手続きで失敗しないためのポイント
- 早めの準備: 期限ギリギリではなく、余裕を持って準備を始める
- 書類の正確性: 不備があると審査が長引いたり、不許可になることも
- 状況の変化に注意: 転職や住所変更など、届出が必要な場合がある
- 専門家への相談: 不安な点があれば、早めに行政書士に相談する
6. 多文化共生社会の実現に向けて、私たちができること
多文化共生社会の実現は、制度の整備だけでは成しえません。企業、行政、専門家、そして地域社会が一体となって取り組むことが必要です。
企業の役割
- 外国人材を単なる労働力ではなく、共に成長するパートナーとして受け入れる
- 適切な労働環境と生活支援を提供する
- 法令を遵守し、正しい手続きで雇用する
行政書士の役割
- ビザ申請や在留資格に関する正確な情報提供
- 複雑な手続きを代行し、スムーズな申請をサポート
- 企業と外国人材の橋渡し役として、双方の不安を解消
地域社会の役割
- 多様な文化を尊重し、受け入れる姿勢を持つ
- 言語や習慣の違いを理解し、共生のための工夫をする
- 困っている外国人を見かけたら、できる範囲でサポートする
7. まとめ:これからの日本社会と在留資格
全国知事会の提言は、日本が多文化共生社会へと大きく舵を切ろうとしていることを示しています。2027年の育成就労制度開始を前に、企業も外国人材も、そして私たち専門家も、準備を進めていく必要があります。
在留資格やビザ申請は、決して簡単な手続きではありません。しかし、正しい知識と適切なサポートがあれば、スムーズに進めることができます。
もし、在留資格やビザ申請でお困りのことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。一人ひとりの状況に合わせた、最適なサポートを提供いたします。
多文化共生社会の実現は、私たち全員の課題です。共に、より良い未来を築いていきましょう。
参考記事
朝日新聞「多文化共生実現へ、『国が責任持って』 全国知事会が提言案」
🔗 https://news.yahoo.co.jp/articles/75517fc6a8ad73eb30cfb16e5703faf3a82d9cd9
